ブラジル概要

国名:ブラジル連邦共和国

人口:2億77万人 - 世界第5位(2017年度)

国土面積:851万2000㎢ - 世界第5位(日本の約23倍)

公用語:ポルトガル語

首都:ブラジリア - 26州と1連邦直轄区

政体:連邦共和制 - 大統領制

議会:上院・下院の二院制

大統領任期:4年

通貨:レアル

GDP:約1兆796億ドル - 世界第9位(2016年度)

一人当たりGDP:8649ドル - 世界第73位(2016年度)

物価上昇率:9.4%(2016年度)

人種構成:欧州系48%、混血43%、アフリカ系8%、東洋系1.1%、先住民0.4%

国民平均寿命:75.2歳 - 男性71.6歳・女性78.8歳(2015年度)

宗教:カトリック約65%、プロテスタント約22%、無宗教8%、スピリチュアル1.3%、アフロブラジリアン0.3%、その他1.8%

失業率:13.1%(2017年度)

最低賃金:937レアル(2017年度) 

在留邦人数:53,400名(2017年度)

日系人総数:約190万人(2017年度)

時差:12時間 - ブラジリア時間(10月第2日曜から2月第3日曜まで時差11時間のサマータイム)

2018年1月更新

Wカップとオリンピックを控えたブラジル経済の可能性

1950〜1960年代の「ブラジルの奇跡」といわれた経済成長を経て、資源、国土、人口などのポテンシャルの大きさから、さらなる発展を期待されたが、1980〜1990年代のハイパーインフレに沈んだブラジル。

いつまでも実現しないことから「未来」の大国と揶揄されてきた。

しかし、1994年のレアルプランなどの一連の政治・経済改革の成功により「未来」は現実のものとなり、ブラジルは欧米の企業から重要な投資先として注目を集めた。

サッカー、カーニバルなどのステレオタイプのイメージは過去のものとなり、BRIC’Sの中の一国という呼び方では既に括りきれない。

2015年現在、約2億人の人口を有し、GDPは約2兆3000億ドルで世界第7位、外貨準備高も約3000億ドルを超える。

一人あたりのGDPは1万2000ドルを超え、1億人以上の中間層を生み出している。

鉄鉱石・海底油田・バイオエタノールなどの天然資源、コーヒー・オレンジ・大豆などの農作物、牛肉・鶏肉などの畜産物の生産・輸出量は世界1・2位を争い、自動車の販売台数は世界第4位、化粧品市場は世界第3位と消費市場としても確固たる存在感を示す。
また2012年のブラジルの売上トップ25社のうち14社が外資系企業であり、外資天国と呼べる市場でもある。

そして2014年FIFAワールドカップ、2016年夏季オリンピックを控え、盛り上がりは増すばかりだ。

物価上昇、複雑な税制度と雇用制度、格差社会独特の金銭感覚などリスクもあるが、ブラジルは正しい投資をすれば高い可能性で利益を得られる貴重な市場である。

ブラジル経済の復活が始まった1994年、苦しくも日本企業はバブル経済崩壊に直面していたおり、国内事業の立て直しに集中せざるをえなかった。

そのため多くの日本企業は、資源ブームによる好景気と欧米企業の進出に湧く、ブラジルへの進出のタイミングを逃してしまった。

そのため日本からの進出企業も未だ400社前後と少なく、裏を返せば未開拓の市場が残っており、日本の高い技術とサービスをブラジルに持ち込むチャンスでもある。

世界的にも有数の親日国である「遠くて近い国」ブラジル。

ブラジルの拡大する市場と日本企業の進出はまだ始まったばかりだ。

2014年1月1日

2016年の経済危機と政治的混乱について

20143月、ブラジルの歴史上、類を見ない大掛かりな贈収賄事件の摘発捜査が始まった。

ラヴァ・ジャット作戦(洗車作戦)である。

ブラジルの歴史上、また政治上、贈収賄は当たり前、そして査察は摘発まで踏み込まないという暗黙の了解が崩れ去った。

国民の誰しもが知っている。

「ブラジルは国が広くて、人口も資源も農作物も内需も沢山あるのに、なぜ国が良くならないの?」「政治家が盗むからだよ」

遡れば1950年代と70年代の「ブラジルの奇跡」と呼ばれた経済成長期に、経済的に成功した既得権益層と政治家の癒着が生まれ、それが定着してしまったことが賄賂体質の始まりであった。

既得権益層は規制や関税を自分達の都合の良いように整備し、国内産業保護を推し進め、国内の資源と産業を掌握していった。

その後、1990年代のハイパーインフレに苦しんだブラジルは、1レアル=1ドルの固定相場制であるレアルプランや、インフレターゲット制によりこれを切り抜け、さらなる経済成長を果たす為に、国営企業の民営化と外資企業への市場開放に舵を切った。

狙い通り2000年代に大きな経済成長を実現したが、国営企業を民営化したとはいえ、実質は元国営・半国営で、根本的な政治と既得権益のつながりは切れなかった。

2004年頃から資源高騰による外貨獲得と、中間層の増加による内需拡大によるバブル経済に沸いたブラジルだが、2014年頃から資源安と政治的混乱でGDPはゼロ成長となり、2015年についにマイナス成長へと陥落した。

2016年のGDP成長率も、前年に近い-3.8%台の見通しであり、GDP総額はインドやイタリアに抜かれてしまった。

贈収賄とバラマキ政策により、国の金庫を空っぽにし、経済をガタガタにさせたのが、13年間与党の地位に居座った労働党である。

社会的マイノリティーである貧困者層の味方として、労働者階級の出身でありながら大統領にまで昇り詰めた人物がルーラであった。

ヨーロッパからの移民の子孫である既得権益が、多くの下層階級を支配してきた格差体質のブラジルに、風穴を開けるべきカリスマとして現れたのがルーラ及び労働党だったのだ。

しかし2016年に入り、建設会社から豪邸を何軒も賄賂として受け取ったことが発覚し、結局は同じ穴のムジナであったことを露呈してしまった。

低所得者層へのバラマキ政策であった生活扶助給付金は、実際は国民の票集めの手段としか考えておらず(所得は低くとも民主主義では一票は一票)、結局は国民や労働者から吸い上げた税金で私腹を肥やしていたのだ。

また政治的手腕と経験が足らず、ことごとく経済政策を失敗させ、連立与党である民主運動党との関係を悪化させ、身内に敵を作ってしまったルーラの後任であるルセフ・ジウマ前大統領は、2016512日に、上院にて罷免審議が可決され、180日間の大統領職務停止が確定した。

今回の摘発捜査は、ブラジリア(ブラジルにおける永田町)ではなく、南部の地方都市クリチバから始まった。

ブラジリアだったら今までのように根回しにより揉み消されていただろう。

また刺し違える覚悟で権力を刺したのは、若手の正義感溢れる判事であった。

ブラジルも少しずつ変化している。

今回のブラジル経済の崩壊と汚職政治家の摘発は、歴史的な事件であり、またドラスティックな展開であった。

まさに時代の節目を目撃することとなった。

今回の事件は重く、忘れ去られることではない。

また同時に国民全員が政治を学び、新しいステップへと進む時が来たということだろう。

国のトップを選ぶのは紛れもない私たち、ブラジル国民なのだから。

私は今回の事件を「起こるべくして起こり、ブラジルがさらなる成長を遂げる為に必要な出来事であった」と捉えている。

これらの痛みと経験が、今後ブラジルにどのような発展と成長をもたらすのか、実際にこの目で見届けたいと思う。

201661