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コロナショックで生まれる新たなビジネスチャンス

2020年12月時点、ブラジル保健省によると新型コロナウイルスによる感染者数は607万人・死亡者数は16.9万を突破したと発表されている。

ヨーロッパを始め、ブラジルでも「第二波」が押し寄せ感染拡大は収まる気配がない。ウィルスに対するワクチン開発の有効性は確認されているが、まだ再評価が必要な為、ブラジルでのワクチン接種の開始は未定とされている。私達の生活がパンデミック前に戻るのはまだ先のこと。

 

健康への懸念以外にも企業は危機的な場面に直面し、想像もしていなかったロックダウンにより、閉店や廃業、倒産に追い込まれた経営者は少なくない。

一方で、多くの企業は事業継続に有効な対応策の検討を進めている中、新型コロナウィルスの影響で新たな需要・ビジネスチャンスが生まれてきている。特にモビリティ・デジタルソリューション・デリバリーサービスが注目を集めている。

 

ブラジルでは毎日約180万人がバスや電車を使用して通勤・通学をしているが、密閉された空間は感染リスクが高いことから公共交通機関を敬遠する人が増えている。ブラジルでは以前から「公共交通機関に頼らない」生活を目指し、個人に向けたよりパーソナルな移動手段であるレンタル自転車、電動スクーター、UBERやTAXI 99などのライドシェアや電動キックボードなどのサービスを提供する業者は少なくなかったが、COVID-19によるニーズの増加に対してより高い需要が期待できる。

 

またブラジル国内ではデジタル化が進んでおり、2019年時点でスマートフォーンの普及率が67%まで伸びている。ブラジルは対面でのコミュニケーションを好む文化の国ではあるが、COVID-19によりホームオフィス文化が確立され、それらを助長するツールやサービスが注目を集めている。これはオンライン配信・販売サービスにも言えることである。デリバリーの注文数もCOVID-19前より94%増加し、宅配サービス、及び、テイクアウトの選択肢がないレストランは閉店してしまう可能性が高い。

 

しかし、上記は世界中でも同じことが起きている。特にブラジルだけのことではない。

 

それではブラジル国内では、どのような特有のニーズを抱えているのだろうか?

 

一つ挙げられるのは医療サービスに対するインフラ環境だ。医療環境、医療機器や器具の不足は慢性的で、新型コロナウィルスの感染が広がる以前からの問題ではあったが、パンデミックで更に明白になった。特に感染が深刻な地域では、医療施設や医療機器の不足による死者の増加が問題となっている。

 

遠隔診療や診断画像のクラウド化、医療関係者間コミュニケーションアプリを導入し、遠隔医療、デジタル化を強化する病院が増えてきた。将来的にはロボットやBIを活用した病院経営も考えられる。そういった医療サービスの問題を解決できるための技術やツールの活用が重要になってくる。

医療サービス以外でも、教育、アグロビジネスなどはパンデミック後の見通しが良好なセグメントである。

 

ビジネスの価値基準は「モノ」から「サービス」に変化していく中、IoTなどの新しいテクノロジー、または問題を解決できるツールの活用により、ブラジルで新しいビジネスモデルの創出が重要なポイントとなってくる。