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Wカップとオリンピックを控えたブラジル経済の可能性

1950〜1960年代の「ブラジルの奇跡」といわれた経済成長を経て、資源、国土、人口などのポテンシャルの大きさから、さらなる発展を期待されたが、1980〜1990年代のハイパーインフレに沈んだブラジル。

いつまでも実現しないことから「未来」の大国と揶揄されてきた。

しかし、1994年のレアルプランなどの一連の政治・経済改革の成功により「未来」は現実のものとなり、ブラジルは欧米の企業から重要な投資先として注目を集めた。

サッカー、カーニバルなどのステレオタイプのイメージは過去のものとなり、BRIC’Sの中の一国という呼び方では既に括りきれない。

2015年現在、約2億人の人口を有し、GDPは約2兆3000億ドルで世界第7位、外貨準備高も約3000億ドルを超える。

一人あたりのGDPは1万2000ドルを超え、1億人以上の中間層を生み出している。

鉄鉱石・海底油田・バイオエタノールなどの天然資源、コーヒー・オレンジ・大豆などの農作物、牛肉・鶏肉などの畜産物の生産・輸出量は世界1・2位を争い、自動車の販売台数は世界第4位、化粧品市場は世界第3位と消費市場としても確固たる存在感を示す。

また2012年のブラジルの売上トップ25社のうち14社が外資系企業であり、外資天国と呼べる市場でもある。

そして2014年FIFAワールドカップ、2016年夏季オリンピックを控え、盛り上がりは増すばかりだ。

物価上昇、複雑な税制度と雇用制度、格差社会独特の金銭感覚などリスクもあるが、ブラジルは正しい投資をすれば高い可能性で利益を得られる貴重な市場である。

ブラジル経済の復活が始まった1994年、苦しくも日本企業はバブル経済崩壊に直面していたおり、国内事業の立て直しに集中せざるをえなかった。

そのため多くの日本企業は、資源ブームによる好景気と欧米企業の進出に湧く、ブラジルへの進出のタイミングを逃してしまった。

そのため日本からの進出企業も未だ400社前後と少なく、裏を返せば未開拓の市場が残っており、日本の高い技術とサービスをブラジルに持ち込むチャンスでもある。

世界的にも有数の親日国である「遠くて近い国」ブラジル。

ブラジルの拡大する市場と日本企業の進出はまだ始まったばかりだ。

2014年1月1日